<はじめに: この回答はご相談のあった2001年2月に すでにご相談者あて回答したものですが、 当相談コーナーのシステム改善の都合上、 再度編集して掲示しております、ご了承ください。 尚、金額的な内容は時間変動しますので、新規にご相談下さいます様お願い致します。>
>板にある「節」も少し崩れ、「反り」も見えます。新築して1シーズンも過ぎないのに、外壁のこのような状況で、耐久性に問題はないのでしょうか。維持補修はどうするのでしょうか。
1シーズン経過しないとなんとも言えませんが 一般的には木材は呼吸することで知られています。 乾燥期には体内水分を発散して収縮し 湿潤期には体内に水分を吸収して膨張します。 これを繰り返すことで建物全体が呼吸する形になり 長持ちさせることに繋がります。
ただ、収縮時の隙間と膨張時の隙間の差は木材の樹種および 板の幅によって多少違います。 雨季の湿潤時にどの程度隙間が詰まるかということですが かなり詰まってくるのではないかと思います。 乾燥機の冬場に隙間を詰めてしまうと雨季の湿潤時には 隙間が詰まって膨張しようにも膨張限界を超えて 板自体が外壁面から離脱するように膨らんでしまいます。
したがって湿潤時に隙間が詰まる状態を基準としなければなりません。 耐久性に問題がないとは言い切れませんが 工事会社にもその辺りを十分に確認してください。 気になるのは判りますが とにかく1シーズン過ぎなければなんとも判断できません。 維持補修につきましても工事会社にご確認ください。
>高温の温風と床板(檜の無垢板)の関係ですが、洗濯ものを風で乾かすように、床板を乾燥させ、「隙間」や「そり」の原因になるので好ましくないと言われておりますが、そのとうりなのでしょうか。高温の温風と無垢板の関係を解決する方法はあるのでしょうか。
前記の膨張収縮の事実関係と回答は同じです。 あくまでも木材は呼吸しているということを忘れないでください。 この自然素材の呼吸によって皆さんは健康状態を保てるのです。 あえてそちらの建物は内外装にふんだんに木材を使ったわけで ナチュラルな生活をしようというご家族のご希望が見て取れます。
にもかかわらず機械力に頼ってナチュラルを設備機器でコントロール してしまうというまるで背反なことをしてしまっています。 冬は多少は寒い、夏は多少は暑いというのが自然ではありませんか? 快適さを求めるあまり設備機器で補正しようとしすぎていないでしょうか? 無理が生じればせっかくのナチュラルもバランスが崩れてしまいます。 いろいろな不具合が生じることとなり不満が残りましょう。
自然素材を建物に持ち込むということはそれだけの覚悟が必要です。 化学物質に囲まれた膨張収縮が生じない、呼吸しない製品をお使いで 完全密閉された生活空間をお望みではない以上 生活スタイル自体もナチュラルに戻していかないと バランスが取れません。
無垢材に高温の温風をあててしまうこと自体 木材にとっては嫌われることをしています。 隙間や反りが気になるようでしたら 無垢材は使ってはいけなかったといわざるを得ません。 ナチュラルな家はあなた方の体をナチュラルにしようという現れです。 ナチュラルだからこそ住人は健康でいられるのです。
この時代にあって、もっとも高級なお考えのもとに 家づくりをされたにもかかわらずそれを引き戻すようなことは無用です。 ぜひナチュラルに徹してください。 そうすれば皆さんの生命力は永いと思います。 おそらく風邪もひきにくくなりましょう。 かつて建てられた神社仏閣はすべてナチュラルです。
正倉院は「校倉づくり」で有名ですがこの建物は呼吸しつづけて 現在にまで生きつづけています。 とても素敵な家づくりだと思います。
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