地下車庫ができるまで

20年前から住宅の地下室を正攻法で造っています。
ビルの基礎を造る工法だから絶対に安心です。
1.土の撤去と割栗の施工

既存擁壁内の土を撤去し、基礎底盤の下に敷く割栗を施工する。地質によっては設計内容や施工法が変わるので地中3〜10m程度の地盤の状態は事前に確認しなければならない。地下本体の一部に建物が載る場合は「不同沈下」が発生しやすいのでキチンとした設計をしないと上に載った建物が傾いたり、亀裂が走る。こうなってからでは遅い。


2.基礎底盤の鉄筋を配筋する

基礎底盤の下に敷いた割栗の上に捨てコンクリートを打ち基礎底盤の鉄筋を配筋する。黒い帯部分は地中梁でこれがないと底盤が折れてしまうこととなる。鉄筋は太さやそれぞれの間隔や継手(3mほどの鉄筋は途中で溶接<溶接破断試験必要>するなどして長く伸ばす)などのチェックをする。使われている鉄筋は大手製鉄メーカーを確認する。


3.壁の型枠を立てる

厚さ25cmのシッカリした基礎底盤の上に壁の型枠を立てていく。外部型枠の外側を掘る「余掘り」は「掘る・捨てる・土を買う・埋め戻す」ことで莫大なコストアップとなるのでチェックする。外防水を理由に業者はこのあたりを工事金額に入れたがるので要注意。100万円の無駄などあなたにはわからないはず。必要か不要かの判断がコストアップの分れ目。


4.断熱材をいれ、内側に鉄筋を配筋する

外部に断熱材を入れる場合は外部型枠としてパネルタイプの断熱材を入れる。外側の土に接する部分とコンクリートとの間に断熱材が入るようにする。外型枠ができたら内側に最低5cmの離隔をとって鉄筋を配筋する。鉄筋は太さやそれぞれの間隔や継手およびコンクリート仕上げ面からの離れ(5cm程度内側に入るように)をチェックする。壁の配筋が終われば内側の型枠を建て、上階の床(下階の天井)の型枠を造っていく。


5.雨水集水のピットを設ける

掘削作業が終了した。ドライエリアがある場合は雨水が降り込むので基礎のさらに下に雨水集水のピット(深さ1m)を設ける。また、地階にトイレやキッチンがある場合も同様。(この汚水ピットは防臭処理が必要)これらピットの中には必ずポンプは交互運転・故障対応用に2台入れるのが鉄則。またこれらはすべて埋め込まれてしまうので事前に配管や配線をしておかねばならない。地表面下4mよりさらに1m下の埋設工事。設計内容にしたがってキチンと所定の位置に電気的・設備的な埋設処置を確認し、これらの上に栗石や砕石の地業が施工される。


6.セパレーターの溶接

いよいよ地下室の床底にあたる位置まで準備が整う。前項5で敷いた割栗・砕石転圧の上に捨てコンクリート(厚3〜5cm程度)を打ち均す。2項で入れたレールとレールの間に内型枠を引き寄せるためのセパレーター(このセパレーター長さが壁の厚みになる)といわれる金属棒を設計にしたがって規則的に溶接する。この金属棒は現場打設コンクリート工事では必須ながら漏水の原因を作りやすい。また、コンクリート打設時のコンクリート自重圧力によってセパレーターがはずれ型枠がパンクする場合もあるので入念なチェックが必要。とにかくデリケートな部分ゆえ要注意。


7.コンクリートの打設判断について

的確に打設されたコンクリートは美しい。内部に「断熱材」と称して型枠代わりの断熱パネルを入れる業者もいるが、このパネルの中味は誰も見ることができないので漏水の原因があっても気がつかない。何年かして漏水に気付き「剥がして見たら豆砂利だらけだった」と言う話しはよくある。密実にコンクリートが打設できているかどうかの判断は表面を見てわかるのであり、隠してはいけない。断熱材や内装を施工するのはこの後でも十分可能である。チェックできないことは認めてはいけない。


8.設備関係の設計について

シャッターや内部・外部の照明などの設備関係は設計に盛り込んでおく必要がある。特に電動シャッターなどはスイッチの位置やアンテナの位置を的確にしないと車からコントロールできないなどの問題が出てしまう。また、排水計画や洗車用の水道なども設計に従って的確に設備になければならない。できるだけ大きめの駐車場を計画することで家族の自転車や冬用タイヤなどの収納スペースも用意しておきたい。約1.5m程度道路との間にお客様用の駐車スペースをとることも忘れずに。


9.地下駐車場に関するアドバイス

地下駐車場の横には連続して地下室を造ることをお勧めしたい。地下部分の工事は地上階の工事と違って単価適には安いにもかかわらず変な常識によって高額と 誰もが信じている。地下工事要素はほとんどが土とコンクリートの工事なので総額が上がりようがないのだ。2.7x6.3m(1台駐車)では500万円程度 だが、倍の5.4x6.3m(2台駐車)では650万円程度であり、さらに8.1x6.3m(3台+α)では830万円程度である。2台駐車場の横または 奥に20畳の地下室を付属した場合でも1000万円程度とは誰も教えない



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