#027-10-10 地下室付屋上付RC造単世帯狭小住宅 東京都調布市

驚異の狭小7坪! = RC造地下付・屋上付オール電化4人家族の家

外観・A = 左は接して、右建物には長屋形式で連続していた


外観・B = わずかな土地でも快適な生活がつくれる


屋上 = 小さいながらも解放された屋上ではバーベキューや水遊びを楽しむ!


2階・リビング = 半階下がりのダイニングキッチンとスキップして一体になる


2階・ダイニング = キッチン部分は階段踊り場を利用することでダイニングを広くする


2階・ダイニング = 正面階段を半階上がるとリビングルーム。半階下がると水回り


1階・マルチルーム = 玄関ホール機能兼用でなんでもござれの空間


地階・子供室2 = 天井高さ4mの部屋(主寝室として利用)


地階・子供室1 = 白壁はトイレ。階段の先には子供室2とつながる


地階・子供室1 = ドライエリア付の部屋


中2階・洗面室 = 2ボールタイプの広々洗面化粧台。奥左がトイレ。手前左が浴室。


北側高度斜線で屋根をギリギリまで上げて空間利用を高めた設計!

階段を駆使して各室をつなげていくスキップフロア構成としている

地下室からのRC造フレームを地上階まで延ばして力学的にも健康に!


プロジェクト解説:

 この敷地は約70uで、幅員4mの南面道路に間口約4.54mで接道し奥行約15.5mとやや小さくて「うなぎの寝床状」の超長方形敷地です。また、第一種低層住居専用地域で建蔽率40%・容積率80%、北側第1種高度斜線などの法的制限が厳しい地域内にある敷地です。
 建物は建替えながら左右の隣家と接続した長屋形式の建物を切断分離して建築しました。
 昔から両隣りと一体の建物でしたので建物の分割ラインと敷地境界線が不明確でした。
難儀だったのは、左右の土地建物所有者のそれぞれと協議を重ね境界ラインを決めねばならなかったことで、法的にかつ正式に分離する業務からスタートし、約1年の分割作業を経て建物計画に入りました。
 やや狭小地なので寸法は1p、2pを無駄にできませんし、法的制限、特に第1種高度斜線制限が屋根の高さを決めます。
 ゆえに床面積をより有利に確保するために地下室付住宅の提案をさせていただき、狭小建物ならではの解決法として地下部のRC造をそのまま地上部分にも伸ばす構法(RC壁ラーメン構造)を採用する提案で方針決定しました。
 ただし、高度斜線制限で屋根形状が特殊となるため勾配屋根は木造として構造解決しています。費用面でもRCで勾配屋根を造るよりは安くなりますから、適材適所の考え方になります。
 また、@主要な構造部分がRC造(耐火性能を有する)となれば民法上の50p離隔が緩和されること、A隣地建物が敷地境界線上にあるため火災発生時など防災面での配慮のほか、B建物の床面積をできるだけ広げることが可能、C外壁や内壁を耐火・不燃化することで火災保険料(地震保険付き)の軽減などを意図しています。
 建物本体はRC壁ラーメン構造ながら柱・梁・床・一部屋根以外の外壁や一部屋根は在来木軸構法としています。
 これは力学的負担の軽減、メンテナンスの容易性、断熱性能の向上と工事費の軽減を意図しました。
 同時に2階空間は高度斜線によって抑えられる中、斜線制限ギリギリでの屋根形状を作るためRC造と木造でのメリット・デメリットを比較検討した結果、木造で屋根を構成することが最も合理的かつ経済的であると判断し、制限一杯まで内部空間を広げて伸びやかなゆとりある空間としています。
 また、この建物では北側高度斜線制限を克服すべくスキップフロア形式を採用しました。
このスキップフロア形式は木造では構造力学上地震と風圧の計算解決が難しく高度となるためラーメン形式のRC造としています。
 内部プランの点では、ご家族の生活機能を単純明確化し、半階ごとに機能分化して階段面積の無駄を抑えつつ収納機能も建物の中心となる階段周辺に集約しました。
 このことによりスキップフロア特有の空間の連続性が生まれ、それぞれのフロア空間に奥行感と解放感が出てきます。
 特にスキップフロアの特徴として生じる地階部分での1.5倍天井高の部屋ではこの天井高さの中間に天井高さの低い収納フロアを設け家財道具の大半をここに収納しています。
 RC造スキップフロア形式により、狭小住宅にもかかわらず広く収納面積も確保できて、半階ごとの機能分化で生活の切り替えも明確にでき、屋上ではBBQやプール遊びなど家族の遊び空間も確保され、年間を通じて室温が一定で省エネな静かな地下室では自分をエンジョイできます。 
 わずかワンフロア7坪であるにもかかわらず閉鎖性のない空間が3層出来上がりました。
 小さいながら地下室付3層住宅+屋上はお客様のお気に入りになっています。
 なお、このお住まいはオール電化を採用しています。

(写真撮影:小杉卓)

 

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