地下スタジオ内観・A = 本格的なドラム練習+バンド練習スタジオを実現。
地下スタジオ内観・B = 仲間が集まってバンド練習は深夜まで続く〜
地下スタジオ = 完成引渡し時の内観。設備配管も完了している
外観 = この住宅の地下にドラム練習スタジオがあるとはとても思えませんよね〜
1階・親世帯の和室・客間 = あえて地下室からは離した位置に設定した
1階・親世帯の寝室 = 書院障子と書院欄間は思い出の旧家にあったものを活かした
2階・子世帯家族共有のマルチスペース = 奥が寝室群
2階・個室A = 2面斜線制限による勾配天井の部屋。ロフト付
2階・個室B = 斜線制限による勾配天井の部屋。ロフト付
敷地は多摩川の河岸段丘の上に位置する住宅地にあり、比較的幅の広い東道路に面している。道路には大型の暗渠が接していて、敷地を見た時は地下室を断念しなければならないかと推察された。しかしながら、調べるうちにこの暗渠は約1キロほど離れた「横田基地」周辺からの雨水路と判明した。通常は水がない排水路ということで地下室を建築することをOKした。
子世帯のご主人はドラムを趣味にしていて、これまではドラム2セットのほかエレクトリックドラムを旧家の自室で打ち鳴らしていたが、周囲に気を遣って思うように練習ができないことを諦めつつ、レンタルスタジオで仲間と共に練習を重ねていた。
そんなところへ旧家が都市計画道路の拡幅伴う移転(換地)の話が持ち上がり、移転を余儀なくされたのがこの土地である。
やっとこれまでのバンド練習でのストレスを発散できるチャンスが到来したのである。
が、親世帯への配慮は欠かせなかった。
なので、防音対策はバッチリしたいとの希望があり、スタジオメーカーとコラボでスタジオを設計し築造した。
結果、親世帯への音漏れは深夜であっても少ない状態で快適に生活を続けられている。
工事面では敷地が多摩川の上流に当たる扇状地のため、扇状地特有の地層の砂利地層であった。ボーリング調査では粒径がそれほど大きくないとの報告だったが、実際に掘削してみると硬く締まった礫層の中身は粒径が大きいもので20〜30cm程度もあり、杭打ちを阻んだ。工事は杭打機を好感し、ジェット粉砕式の杭打機に変えて難所を克服した。
音響スタジオを構築するためには通常よりも地下室天井高さ高くしなければならない。逆に言えば、地上高さは決まっているので「地下室は深く掘らねばならない」ことになるから排出土砂の量もさることながら、杭打ちは大変なことであった。
プランの特徴としては、前述の通り1階の親世帯への音漏れに対する配慮により地下室と親世帯とは重ならないようにした。また、親世帯がご健在のため1階での生活(接客、食事、風呂、就寝、排泄など)が十分機能でき、親世帯を中心とした子世帯との共同使用での空間機能を取り入れた。
よって、外観も親世帯のご意向により和洋折衷としている。
2階は子世帯だけの部屋の構成として通風採光を考慮し、洗面コーナー付の子世帯マルチスペースを中心として主寝室(2室)、個室2室、トイレを廊下で結んだ。そのほか大型の洗濯物干用ルーフバルコニーを設け、個室各室からならびに前述マルチスペースから出入りできる大型の小屋裏収納を設けている。