6項のセパレーターの溶接完了後、外側の土に接する矢板の内側に断熱材(厚5cm)が貼り込まれた。(正面の矢板が見えるところが敷地奥のドライエリア)。いよいよ地下室の躯体内に入る鉄筋が構造設計の通りに組まれる。
太い鉄筋は直径が2.2cmあり、細いものでも1.6cmという異例の太さの鉄筋が15cm間隔でメッシュに組まれ、更にそのメッシュは上下に20cmの間隔を保って二段に重ねて配筋される。地下室底盤のコンクリートの厚みは30cmを超えておりビル並みの配筋とした。どんな地震が起きようともこれならびくともしない。使われている鉄筋が大手製鉄メーカー出荷の伝票かを確認する。各部各所の配筋検査も行う。
外型枠の矢板、さらに内側の断熱材から内側に最低5cmの離隔をとって壁筋を配筋する。太さ1.6cmの鉄筋が15cm間隔でメッシュに組まれ、内外に15cmの間隔を保って垂直二重に配筋されている。配筋検査は太さやそれぞれの間隔や継手およびコンクリート仕上げ面からの離れ(5cm程度内側に入るように)など設計指示通りかをチェックする。壁の配筋が終われば内側の型枠を建て、上階の床(下階の天井)の型枠を造っていく。手前の白い枠はサッシ及び出入口用ドアが入る部分であり、この壁の手前が西側のドライエリアとなる。サッシなどの開口部の四隅は力学的に弱いので、このコーナー部分に補強筋を入れるのが鉄則。
いよいよ内外部の壁の配筋が終わり内部の型枠が建て込まれた。また、ドライエリアの部分を除いて上階の床(下階の天井)の型枠が造られた。この床は天井の化粧仕上げとなるので傷をつけないよう、また、準備中の汚れなどが付かないようにシート養生をするなども必要。型枠の内側にはコンクリートが流し込まれるので型枠が膨らまないように外側からガッチリと鉄パイプで支持しなければならない。パイプの間隔は6項のセパレーターの位置で決るが45cm間隔が一般的である。また、このセパレーターの位置はコンクリートの化粧仕上げの重要な要素である。内部型枠が剥がされた時に縦横が整然と正確に揃うことで美しく見える工夫が必要である。
下階壁の中に床の配筋が呑み込まれるように配筋をしなければならない。床の1/2または1/3の位置と外端部には梁を入れる。この梁はこの床に載る建物などによって多少位置が変わる。今回はコンクリート床の厚みを約30cmとし床下(地下室天井面)に梁を出さない方法を採用した。準備中は土を始め桟木・金物などいろいろな物が型枠内に落ちないよう注意を払う。コンクリート打設前には型枠内部を全てチェックし落ちたものは必ず拾い出さねばならない。これを怠るとこうした混入物が原因で漏水や構造的欠陥を生じる。こうした混入物が3、4m下の型枠内の止水部に入ってしまった時は最も除去が困難である。最悪時はコンクリート打設後に当該箇所コンクリートを解体し補修する。
コンクリートはJIS規格のコンクリートプラントからミキサー車で搬送する。事前に「配合計画書」を提出させる。これにはコンクリートに使われる砂や砂利やセメントの産地など重要事項が書かれている。海砂は基本的に拒否し建材店のコンクリートも拒否する。強度は指定強度以上とし現場でテストピースを採取し1週間後に所定強度のチェックをする。コンクリートは一気に打たず、地下空間の内外の壁を2、3周まわる要領で的確に密実に打設する。内部型枠を室内側断熱材と複合板型枠で兼用して打ち込む工法は前10項のコンクリート打設部型枠内の混入物点検が十分にできない時にコンクリート打設面や止水部分等の打設後の点検ができないので漏水や構造的欠陥を指摘できない。
地下室のコンクリートの壁厚は約30cmに及ぶのがご覧頂けるだろうか。この床面の上にさらに地上建物の基礎の立上がりを造る。コンクリートは発熱しなが ら硬化を始めるのでコンクリート打設後硬化しないうちに打設面を均さねばならない。今回は前10項でも触れたが、床梁を床の中に内蔵させることで地下空間 の広がりを重視した。上階に建物が載ってキッチンや浴室やトイレなどの水廻り(みずまわり)がレイアウトされ、それらの関係でコンクリート床のレベルを変 える場合もあるが、今回は木造床の懐を25cmとることで浴槽下の配管関係をはじめほとんどの配管類を地下室内に出さない工夫をして段差を付けないフラッ トレベル設計とした。床面の急激な乾燥によるひび割れは構造的に影響するので要注意。